「なん、で」

 揺らめく黒い魔力。迸る威圧感。

 それらを直に浴びて、フリード大臣はその場に転げる。

 薄闇に光る赤い瞳に、大臣は悲鳴のように叫んだ。

「なぜだ! なぜこの場所がわかった!?」

「お前に、答えてやる義理があると?」

 端的に答えたユリウスが軽く右手を振るう。それだけで、よろよろと起き上がった男の一人が吹き飛び、石の壁にめり込む。

 ひっと叫んで、ほかの男たちが逃げ出そうとする。だが、ユリウスは当然見逃さない。機械的に次々と男たちの意識を狩りながら、彼はまっすぐにフリードへと足を向ける。

 ゆっくりと、しかし着実に近づいてくる王にフリードは震え上がる。それでも彼は、冷静に部屋の隅を見やると、転がるネックレスに合点がいったように頷いた。