「なるほど。そうか。ネックレスにもうひと細工しかけたな? 例えば、そう。第三者がネックレスを傷つけた場合、その場所がお前に伝わるといったような……」
だが、しかし。
「黙れ」
フリードの言葉を、ユリウスの低い声が遮る。途端、ユリウスの肩から影が噴き出し、巨大なオオカミの姿となってフリードに牙を剥いた。鋭い牙が肩をえぐり、フリードが悲鳴をあげた。
それを恐ろしく冷たい瞳で見下ろしながら、ユリウスは吐き捨てた。
「誰が喋っていいと言った。誰が話を聞いてやると言った。誰が」
ぶわりと、彼を覆う影が大きくなる。嵐のように魔力が吹きすさぶ中、黒髪をなびかせてユリウスは叫んだ。
「誰が貴様を、生かしてやると言った!!!!」
「っ、ちっ!」