有無を言わさぬ叫びが、残された時間が少ないことを物語っている。セルジュは顔を強張らせたが、最終的に王弟としての役目を選んだ。身を引き裂かんばかりの悲壮な覚悟で、彼は人々に向けて叫んだ。

「総員退避だ! 無事な者は、女子供、怪我をした者の介助を! この庭園は、魔術結界によりただちに封鎖する!」

「ざまあみろ! ざまあみろ、簒奪者め!!」

 高笑いをするフリードを、駆けつけた衛兵が拘束する。魔力封じの縄を使っているから、もう彼が逃げることは出来ないだろう。引きずられていく彼は、最後まで勝ち誇ったように笑い続けていた。

 後ろ髪を引かれつつも、ほかの人々も言われた城を目指す。その向こうでは、今度は王宮魔術師たちが呪文を唱え始めている。

 被害を最小限にとどめるための見えない牢が、徐々に組み立てられようとしていた。