「はい! 聖女認定書、いっちょ上がり!」
ポンっと景気良く印章が押される。ひらひらとそれを乾かしながら、マージェリーの兄のエディ――魔術書記官のエディック・デュ・ノエルはあっけらかんと笑った。
「認定書の受け渡しが完了すれば、マージェリーは名実共に我がルグラン王国の聖女様になりまーす。就任おめでとーう、はーい、拍手―」
「かっる! あまりにかっる!」
にこっと微笑んだ兄に、思わず素で突っ込んでしまう。
ぴらぴらと揺れる認定書を眺めながら、マージェリーは変な顔をした。
「こういったら何ですけど……。もうちょっとこう、なんかないんですか? 情緒とか」