生まれのせいで敵が多く、心に傷を抱えた孤独なオオカミ。そんな彼にくらりとやられた。『シンデレラは突然に』のストーリーが頭に残っているのも、本編はもちろん、ユリウスのファンアートやSSをネットで漁っていたためだ。

 特にお気に入りのシーンは、第二部の中盤も過ぎたころ、ユリウスが主人公に素直な心情を吐露する場面だ。

 皆が求める『オオカミ王』の仮面を被り続けてきたユリウス。そんな彼が初めて、「本当に王にふさわしいのはセルジュだ」と漏らす。生まれのことだけではない。弟は皆に愛され支持されている。自分とは大違いだ、と。

 それにフローラはそっと首を振る。ユリウスとセルジュは、互いに手を取り合って前に進むべきだ。自分が二人の架け橋になる。だから彼と向き合ってくれないか、と。

 まっすぐな言葉は、孤独なオオカミの心を揺らした。だからユリウスは、ずっと呪っていた獣人の姿で、初めてセルジュのもとを訪れる。ユリウス推しの読者は涙なしに語れない名シーンだ。

 そんな大事な姿なのに。