(なんだか、うまく丸め込まれちゃったな)

 自身も紅茶に口をつけながら、マージェリーは溜息をつく。けれども、あのまま父も同席の上話を進めるのは、マージェリーの身が持たなかった。結果的に王と二人きりでお茶をする羽目になったが、これはやむを得ないと諦めるべきだろう。

 今生の父、ジョルダン・デュ・ノエル。間違いなくイケオジの部類に入る紳士であり、母との仲も羨ましくなるくらい睦まじい。そんな自慢の父親なのだが、彼はマージェリーを愛しすぎるという弱点を持つ。

 小説でも、マージェリーがユリウスの婚約者として第二部に返り咲いたのは、ジョルダンが裏で動いたことが大きい。「うちの娘を泣かせやがって」と、セルジュ殿下への当てつけを込めた采配だったらしい。

(陛下に初体験奪われちゃいましたっ☆、何て言ったら、お父様どんな顔するかしら)

 最悪の事態を考えて、マージェリーは震え上がる。責任取れと結婚を迫るだけで済めばいい。最悪、小説の流れと関係なしに、最短ルートで破滅ルートに突き進む可能性だって――。

「……ジェリー。マージェリー!」