(あ、あれ?)
虚を衝かれて、マージェリーは瞬きをする。
てっきり呆れ、不愉快そうに自分を睨んでいることだろう。そう思ったのに、ユリウス王はただただ、じっとこちらを眺めている。
ついに居心地の悪さを感じたその時、ふっと彼が鼻で笑った。
なんだろう。どこかで、何かを間違えた気がする。
戦慄するマージェリーをよそに、王はのんびりと頬杖をついた。
「へーえ? 君は弟相手に失恋をした。だから、本当はフローラ・エルメイアと過ごすのは苦痛であったと……。私の知る話とは、大分異なるな?」
「なにをご存知だというのですか?」
からからに喉が渇く。それをなんとか押し殺して、マージェリーは恐る恐る尋ねる。すると王は、明らかに面白がっている様子でこう答えた。