「君たちが学院を卒業した夜。パーティに出席するでもなく、私があんな時間まで学院に残り、学院長と話し込んでいた理由。それが君にわかるか?」
「い、いえ……」
「フローラ・エルメイアだ。彼女について、学院長から詳しく聞いていたんだ」
(そんなの初耳なんですけど!?)
内心仰天するマージェリーをよそに、王はすらすらと続ける。
パーティで、セルジュがフローラ・エルメイアを婚約者として発表する。その報告は、事前に宰相であるマージェリーの父から得ていた。
仮にも王族が伴侶を取るのだ。王として、その人となりを把握しておく必要がる。そのために彼は、学院長にフローラの情報をあれこれと尋ねていたんだそうだ。