オオカミ王の策略にはまり、フローラ・エルメイアのお目付役を引き受けてしまったマージェリー。彼女には、ロワーレ城の一室が与えられる。

 準備が整ったある日、城から迎えの馬車が来た。乗り込む手前で、マージェリーは家族を振り返った。

「お父様。お母様。エディお兄様。お役目を果たしてまいりますわ」

「いってらっしゃい、マージェリーちゃん」

 のんびり微笑んだのは、母のシェリルだ。流れるような銀髪に深い蒼の瞳と容姿はマージェリーに瓜二つだが、性格はとことんマイペースである。

「がんばるんだよ、可愛いマージェリー……! いつでも帰ってきていいからね……!」

 母の隣で号泣するイケオジ。説明するまでもなく、父ジョルダンである。エグエグと涙を流す夫に、母は「あらあら、まあまあ」と頬に手を当てた。

「パパったら寂しがっちゃって。いまからこんなんで大丈夫かしら? いつかはマージェリーちゃんも、お嫁に出ちゃうわけだし……」

「お、お城なんて、近くですもんね! 会いたかったらすぐ会えますもんね!」