マージェリーは城についてすぐ、王立学院の同級生、フローラ・エルメイアと再会した。
あらかじめ到着する頃合いを聞いていたのだろう。城に入ろうとしたところを、待ち構えていたフローラに捕まった。
「マージェリーさまー!」
ててててと小走りに駆けよってきた彼女は、ヒロインらしいキラキラとした笑みでマージェリーを見上げる。
(ああ。相変わらず、フローラ様は可愛いなあ)
ほわほわと癒されつつ、マージェリーはついとスカートの裾を持ち上げる。ひさしぶりにばっちり『ご令嬢スイッチ』を入れてから、彼女はにこりと微笑んだ。
「お会いできてうれしいですわ、フローラ様。ですが……。親しき仲と言えど、久方ぶりにお会いする方とは、きちんとご挨拶をすべきではないでしょうか?」
「ご、ごめんなさい。マージェリー様の言う通りです」
慌ててスカートの裾を摘まんでから、フローラは照れ笑いを浮かべた。