「マージェリー、貴女に永久の敬意を。私、セルジュ・ルイ・ルグランは、貴女に深く感謝いたします」
在校生たちが唖然とする中、セルジュは真摯な瞳でマージェリーを見上げる。美しい笑みを浮かべて佇むマージェリーの手に、彼は敬意を込めて口付けをした。
「私とフローラが結ばれたのは貴女のおかげです。貴女という真の友人がいなければ、私は秘めた恋心を抱いたまま、今日を迎えていたでしょう」
「過ぎたお言葉ですわ」
ゆっくり手をひき、マージェリーは立ちあがるよう促す。セルジュ、そしてフローラの手を取ったマージェリーは、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
「私はただ、大切な友人ふたりに、幸せになって欲しかっただけですわ」
わっと、教師たちが拍手をする。完全に置いてけぼりの在校生たちもとりあえず手を叩いた。
これは一体どういうことだろう。断罪イベントどころか、当事者たちが手を取り合い、仲睦まじく微笑み合っている。
満面の笑みで、フローラがマージェリーに抱きつく。驚いて目を丸くしつつも、マージェリーも嬉しそうだ。
そんな夢物語のような、美しい光景の中。
――聖女のような慈悲深い笑みの下に隠れて。マージェリーはおよそ侯爵令嬢とは思えない、力強いガッツポーズを決めていた。
(――……完璧よ。計画通り、だわ!!)