部屋に入ってすぐ、ユリウスはふわりと風を吹かせて変身した。現れたフワフワの尻尾は、不機嫌そうな表情に呼応して、ゆらゆらと不穏に揺れている。

 まっすぐにソファに進んだ彼は、勧められる前に腰を下ろす。それから、じろりとこちらを睨んだ。

「遅い。遅すぎる。どうして、すぐ会いに来ないんだ」

「はい?」

 予想外の叱責に、マージェリーは思わず素で問い返してしまう。けれどもユリウスは本気らしい。不穏に尻尾を揺らしたまま、むすりと顔をしかめている。

(なんでって言われてもね……)

 謁見する予定はなかったとか。そもそも自分はフローラの教育係として城に上がったのであって、ユリウスに会いに来たんじゃないとか。いくらでも正論が頭に浮かぶが、言ったところで彼を怒らせてしまうだけだろう。