柚羽ちゃんと話してから、穏やかな日々が続いていてーー

街路樹も少しずつ色づき始めていて、大会で伊織の働く美容院は大賞を取り。

美希さんに、伊織も話をしてラスベガスに行かない事を報告したらしい。

伊織のことだから、高山さんとの事は伏せて。


そしてーー大賞の副賞の温泉旅行に行く、とはしゃいでいた伊織を見送った日。

俺は、事務所の面々と飲みに来ていた。

いつぶりだろうか……こうして外へ飲みに行くのは。


「渉さん!飲んでますかぁ?」


だいぶ、酔ってきた優実ちゃんがグラスを片手にKEITAさんと談笑している、俺の横にフラフラと座った。

飲んでるよ、と答えると。

全然……酔ってないじゃないですかぁ?

最早、呂律も回っていない優実ちゃんはグラスをテーブルに置いて。

俺の方に、身体が傾いてくるのを慌てて受け止める。


「大丈夫?」


「……大丈夫……まだ……飲めます」


起き上がろうとする優実ちゃんに、大丈夫じゃないだろ。

もう止めとこ、と言うと…ー俺の腰に腕を回して。

まだ渉さんと飲むんです……と、しがみついて来て。


「懐かれてるね、渉くん」


からかい交じりの、面白がるようなKEITAさんの言い方に……はぁ、と溜め息が溢れてしまう。

助けてくださいよ?と、訴えてみるとーー無理矢理に引き離すと可哀想だろ。

確かに、そうかもしれないけど……動けないのはキツい。

他の事務所スタッフも、だいぶ酔っている人達ばかりで頼れそうにない。

唯一、まだ酔っていないKEITAさんだけにしか……助けは求められない状況。