加藤くんから受け取ったUSBの中身にはーー…
俺と伊織が休みにデートしている写真が何枚も入っていた。
ずっと手を繋いで、服や雑貨。
日用品、食料品を買い物する姿。
たぶん俺が伊織を見つけて、引き寄せられるように寄り添ってー…微笑み合う姿。
海浜公園で、お互いの腰に腕を回してキスをしている姿。
どれも自分達なはずなのに、楽しそうで。
幸せそうで、1枚1枚が眩しいくらい輝いて見えた。
こんな表情で俺は伊織と過ごしてたんだな、と気恥ずかしかった。
その反面、伊織の俺を見る表情は愛されてるな、と実感するものばかりで。
可愛くて、綺麗で。
心の奥から熱いものが、ジワリと込み上げていた。
その夜はーー当然。
身体をひとつにしなくても、じゃれながらキスをして。
他愛もない、日常の会話を楽しんだ。
そしてーーー火曜のラジオのメールにも、金曜のラジオのメールにも。
箱根で見掛けた、公園で見掛けたとリスナーから送られて来ていて。
“ 彼女さんが手に持っている物を食べちゃうSHOHEYさん、拗ねてSHOHEYさんが手に持っている物を食べちゃう彼女さん、本当に楽しそうでした ”
“ 自転車で2人乗りをして、歌を歌ってましたよね。本当にバカップルみたいでした。だけどSHOHEYさんは無邪気な少年みたいで可愛かったです ”
“ 公園で、彼女さんにキスをされて紅くなってるSHOHEYさんは可愛かったです”
こんな内容が大半で、ラブラブ過ぎて声を掛けられませんでした、だった。
目を通しながら、照れ臭い反面。
俺の想像以上の独占欲を知った秋の思い出が、走馬灯のように過ってーー
都会の街にも、肌を刺すような寒い冬がやって来る。
春夏秋冬の最期の季節は、どうやって過ごそう。
なぁ……伊織?
ん?
冬はどうやって過ごす?
そうだね……絶対なのはクリスマスのイルミネーション!
言うと思ったよ……
イルミネーションの点灯式イベントのDJするけど来る?
行く!絶対に行く!
終わったら、一緒に見て回ろうな。