ある程度の予測をしての、KEITAさんのとんでもない案に乗った瞬間に、覚悟を決めていた。

俺自身が隠す気がない以上、早かれ遅かれ噂にはなっていただろうし。

有名になればなる程、こういう噂も立つ。

それが、芸能界で。

今でも活躍してる人、干される人、潰される人をたくさん見て来た。

まだTVや新聞、雑誌で騒がれないだけ良しだな。

今の時代ーーネットが一番怖いだけに、伊織を傷付けないか、それだけが心配だけど……自分で選んだ覚悟だ。

火の粉が降り掛かる前に、振り払ってやる。

伊織の不安の種は、全て俺がーひとつ残らず摘み取ってやる。



何時もより早い時間に、事務所に行くとーー

優実ちゃんに出会して、挨拶を交わして。

どう?と訊く。

LINEをくれたのは優実ちゃんで。

俺に執拗に誘ってくるのは、迷惑でも。

仕事に関しては優秀で、事務所のスタッフ、タレントやアーティスト達の殆んどが、優実ちゃんを慕っている。


「相変わらずですけど、事務所からは当たり障りのないコメントは出しました。後は、渉さん次第です。それから、どうなるか様子を見て事務所としての対処法を決めます」


「そうか、ありがとう。社長はもう来てる?」


来てますよ、と答えてくれた優実ちゃんに、話してくるよ。

今回の御礼に、この後ランチ行く?

はい!行きます!

仕事の顔がパッと華やいで、天真爛漫な笑顔に変わる。

この笑顔も優実ちゃんが慕われている理由なんだろう。

嫌な事も、辛い事も、悩みも吹き飛ばしてくれるような明るさがある。


「話が終わったら、いつもの部屋に居るから昼休みになったら……呼びに来て?」


「わかりました!食べたいものを考えながら、楽しみにしてます!」


うん、と頷いて社長室に向かい。

大きく息を、フゥっと吐いてノックするとーー渋くて太い声。

話そう、俺の覚悟と想いを全て。

社長ならわかってくれる。

底無しの温かい器を持った人だから。