静かな部屋に鳴り響く、けたたましい音。

それは、俺と伊織のスマホから。


「……んー…電話……鳴ってるよ……?」


「……鳴ってるな……って……今……何時?」


スマホが漸く、鳴り止んで。

重たい身体を無理矢理、起こして。

ハイハイをしながらジーンズに入れたままだった、スマホを取り出すとーーー

まだ7時半じゃねぇか………



俺が無意識に呟いていた時刻にーーまだ布団に包ったままの伊織が、、

たぶん……お母さんだよ……


まさに伊織が言った通り、俺のスマホにはおふくろからの着信表示。

伊織のを見ると、おばさんからの着信表示。


どちらかが、かけ直せば済む話なんだけど……内容の想像がつくから。


どうする?


スマホを持ったまま、布団に戻ってから、枕元にスマホを置いて。

伊織の横に頬杖をついて寝転がり、布団を手繰り寄せる。


「……みんなと集まる前に行かないと……煩いんだろうね……」


「たぶんな……」


俺が、そう答えて直ぐにまた鳴り響く着信音。

眠そうに目を擦っていた伊織が、ほらね、と笑うからーー俺まで笑ってしまう。

それは、二人とも苦笑いで……スマホに
手を伸ばす。

これで出なければ……繋がるまで掛けて来そうだ。

かと謂って。

電源を伊織も俺も切ったら、旅館に掛けてくるだろう。


おはよう、早いわ!

文句に聞く耳すら持たず、内容だけを伝えて、何時に来るんや?

用意したら行く、と伝えて電話を切る。



「何か……言われた?」


「来たら……まず本尊に手を合わせて、墓参りしねって。伊織も一緒に」


「うん……その後は私の実家だね」


そうだな、と。

伊織にスマホを渡すと、おばさんにかけ直してーー内容を伝えて、電話を切った伊織とキスを交わして用意を始める。


シャワーを浴びて。

伊織の用意が終わってから、俺の髪を伊織がセットしてくれる。


旅館の下に降りるとーー司に出会して、おはよう。


「おはよう。朝飯は?」


「あー…俺達の親から呼び出されたんやわ。悪いけど……」


「気にするな。はよ、行かな。14
時に篤人の家の前で待ってるの」


わかった、と司に返事をして。

徒歩5分の俺の実家へ。