社長はお隣の幼馴染を溺愛している
 私たちはなにも考えずに、ただ抱き合った。
 もういっそ、このまま――このまま、死んでしまえたらいいのに。

「志茉。俺のそばにいろ」

 私の心を読んだかのように、要人は言った。

「俺がいる限り、志茉は一人じゃない」

 両親が死んでから、ようやく私は現実を見ることができた。
 要人の体に縋りつき、声を上げて泣いた。
 優しい要人なら、孤独から助けてくれるとわかっていたけど――

「ごめん……ね……要人……」
「どうして、謝るんだ……」

 要人は私に捕まった。私から逃れられずに、囚われてしまった。
 私たちが幼馴染のラインを一瞬だけ越えた『初めて』――それは、孤独を消すための行為だった。
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