世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果

私がおせ……助けてあげる!





「わぁ……すごい汗かいてるね。先ずお風呂かな? お風呂だよね? 沸いてるから入ってね」
「…………ん」
「名前は?」
「…………そーいちろー」
「そーいちろーくん、多分運動部だよね? カレーとか好き?」
「すき」
「了解。着替えは弟のでいいかな? 多分サイズ同じくらいだと思うから。脱衣場にバスタオルと一緒に置いておくね」
「……んん」



 あかりは意識がほぼない総一郎を脱衣所に押し込み、大きくガッツポーズをした。


 こんなにうつらうつらして何も思うように話せない男の子、放り出すなんて出来ないし。仕方なく、仕方なくお世話するだけ。と心の中で言い訳をしていた。


 あかりはそれだけお世話に飢えていた。


 カレーは圧力鍋があれば短時間で調理可能。あかりのカレーは家族の好物。擦ったリンゴを入れて具材を大きくカットするのがポイントだ。急いで準備しなくては。


 そういえば、フルーチェもあった気がする。上に苺でも乗せて出してあげよう。あかりはむふふと笑う。


 浴室からシャワーの音が止み、バシャンと音が聞こえた。総一郎はきっと今頃入浴剤の匂いに満たされた温かいお風呂に浸かって一息ついているはず。あの調子だと、あと30分は出てこない。



「あー、忙しい忙しいっ」



 あかりはエプロンを装備し、キッチンに立った。





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