世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果

ドライヤー事変




「お風呂、先にもらった」
「気持ちよかった?」
「うん。今日の入浴剤すげー好き」
「トロトロだったでしょ! 疲労回復効果があるんだよ!」
「なんか疲れ取れた気がする」
「それはよかった〜!」



 午後8時、風呂上がりの総一郎が首にタオルをぶら下げリビングに戻ってきた。総一郎の至福のお風呂タイムを作り出せたあかりは、達成感からにこにこと嬉しそうにする。



「はいお水ね」
「サンキュ」



 あかりが冷えたミネラルウォーターを渡すと、総一郎はゴクゴクと一気に半分程飲み干す。男らしいボコリとした喉仏が上下に動くのを眺めながら、あかりはずっと思っていたことを口にした。
 


「髪の毛、ちゃんと乾かさなきゃダメだよ? いつも濡れてる」
「ドライヤーめんどくさい……」
「そのまま寝るから朝髪の毛ぴょこぴょこしちゃうんでしょ! ダメッ!」
「っ……あかり、ぴょこぴょこもう一回言って」
「……ぴょこぴょこ?」
「かわいい……あかりのぴょこぴょこ」
「私の話聞いてる?」



 総一郎のツボはよく分からないが、自分のことを動物扱いして可愛い可愛いしていることを知っているあかりは、全く動じる気配はない。


 

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