白ウサギのかくれんぼ
ある雪の日に、一羽の白いウサギの子が家から出てきました。冬になって、ねていることにあきてしまったのです。

「外はさむいや!」

そこで、お母さんが作ってくれたあたたかいふくをきて、お父さんが作ってくれたしっかりしたクツをはいて外に出ました。

「だれか、いないかなあ?」

あたりはまっ白で、だれもいないようでした。

「そうだ、かくれんぼをしよう!ぼくがオニだよ。だれかを見つけるんだ!」

ウサギの子は、そばにある木のミキに手とあたまをくっつけて、数を数えはじめました。

「い〜ち、に〜、さ〜ん、よ〜ん、ご〜…」

まわりはしずかに雪がふる音がするだけでした。それでもウサギの子は十まで数えます。

「…きゅ〜う、じゅ!!…よぉし!」

ウサギの子はドキドキしながら、どこかにいるだれかを、さがしはじめました。

雪はしずかにふりつづきます。

「…きっと…もうだれも…」

そう思って下をむいたときでした。

ガサガサッ

だれかが出てきました。
白い体、赤いまぁるい目。それに…
みどり色した長い耳。

「だれ!?」

「見つかっちゃった!ぼくもウサギ。雪うさぎだよ。」

「雪うさぎ??でも、ウサギなんだね!きみ、キレイなみどり色の耳だね!」

「ありがとう!」

「…でもきみ、さむくないの?」

雪うさぎはわらいました。

「ぼくらはさむいほうがいいんだ!」

「ぼくら?」

「さがしてごらん、ほかにもいるよ!」

雪うさぎは、とびはねてウサギの子にわらいかけました。

「行こう!」

二羽はなかよく走り出しました。

雪の上には二羽のあしあとができました。
< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop