シングルマザー・イン・NYC
サロン・ローゼンタール

カミーユさんがオーナーになるプライベートサロンは、アッパー・イーストサイドの瀟洒な一軒家が集まる一角に作られた。

作ったと言っても新しく建てたわけではない。
以前からあった一軒家の一階部分を改装して、サロンにしたのだ。

白い壁の地下一階・地上五階の建物。屋根の部分は薄緑。
そして驚いたことに、右隣に立っている少し大きめで同じく白い壁の四階建ての一軒家と内部で繋がっている。

「フランケンマンション、というのよ」

カミーユさんは微笑んだ。

「タウンハウスは素敵だけれど、幅が狭いでしょう。だから広いタウンハウスに住みたい場合は、隣り合ったタウンハウスを2軒か3軒買って、中を繋げるの。売り手がなかなか見つからないから、実現は難しいのだけど――」

そこは富豪の力でなんとかできた、というわけか。

「プラヤホテルのお部屋はどうするんですか?」

「引き続き所有するわよ。親戚やお客様が来た時に泊まってもらえるし、私たちが本当に年を取った時に、ここをまた売るかもしれないから」

「さすが、スケール大きいですねえ」

アレックスが感心した。
< 102 / 251 >

この作品をシェア

pagetop