シングルマザー・イン・NYC
運命の日
「そういうわけで、篠田さんとは会えないの」

「そうか――」

翌日。
ちょうど、お客様が途絶えた昼下がり。

アレックスと私はスタッフルームで遅めのランチにした。
交代で食べることが多いのだが、今日はたまたま、三十分ほど一緒に座っていられる。

メニューは、昨日マリアが作ってくれた牛肉と野菜の煮込みと、近所のパン屋さんで買ってきたバゲット。

スタッフルームは裏庭に面したガラス張りの部屋で、庭には、狭いながら何種類もの植物が絶妙に配置されている。

春になると美しいピンク色の花を咲かせるマグノリアの木。
地面を覆うクローバー。
そしてカミーユさんがお料理に使う各種ハーブ。

美しさと利便性を兼ね備えた彼女らしい庭を、暖かな秋の日差しが照らしている。

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