シングルマザー・イン・NYC
東京へ

東京へ

十二月二十六日。

各家庭でクリスマスツリーの役目を終えたモミの木が道端に積まれ始めると、十一月のサンクスギビングから続いたホリデーシーズン終了の合図だ。

「日本はクリスマスからが本番だよね」

「そうそう。仕事納めが……二十八日だっけ? で、お正月休みが三日までか」

「米国人の新年はあっさりで、最初は驚いた。大晦日にカウントダウンして、二日には日常に戻るから」

朝の食卓でルームメイトの里香ちゃんとそんな話をしていると、

「僕にとってはハロウィンからホリデーシーズン」

と慧が口を挟んだ。

ニューヨークっ子のハロウィンはなかなかの大イベントだ。

郊外や地方都市と違い、カボチャのある一軒家を回って歩く機会はほとんどないのだが、その代わり、ドーナツなどのスイーツ屋さんはもちろん、レストランなど、多くの飲食店が子供にお菓子をくれるのだ(お菓子がないお店は、その旨貼り紙をするなどしている)。

お店が並ぶ通りは、仮装したかわいい子供たちと付き添いの大人で溢れる。

キュートなゾンビに仮装した慧は、私を後ろに従え、ブロードウェイに立ち並ぶお店に片っ端から「トリック・オア・トリート!」と元気に入っていく。

バケツはあっという間に一杯になり、私たちは途中二回、アパートに戻って中を空にした。
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