「しがらみ」は、二週間後、美容室にやって来た。

「予約はしていないんですけど、ちょっと、セットをお願いできる?」

レジカウンターでアレックスに話した彼女は、少し日本語訛りはあるけれど、流ちょうな英語を話す美しい女性だった。

艶のある黒髪のロングヘア―と、色白な肌。そして切れ長で意志の強そうな目。

「わかりました。今ちょうど、お席が空いていますので。ご指名はありますか?」

「サイトウ・キワを」

(私だ)

カット中の手を止め、彼女の方を見る。

きれいだが無表情で、なにか、鋭さのようなものを感じた。

「キワは今カット中でして」

アレックスが断ろうとする。

「いいわ、待つから」

そうして三十分後、彼女は私の席にやって来た。