シングルマザー・イン・NYC
それからの篠田さんは、週1、2回、簡単なメッセージを送ってきていた。
でも私は返信しなかった。

そして3月のある日、篠田さんから帰国を知らせるメッセージが届いた。

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希和

父親が重病で余命宣告を受けたため、急遽ニューヨークでの生活を引き払い帰国することになりました。

まだ希和のことが諦められません。
この先もずっとだと思う。
もう僕から連絡を取ることはしませんが、気持ちが変わればいつでも連絡して欲しい。
ずっと待っています。

篠田樹

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メッセージの内容とは裏腹に、ああ、これで本当に終わりなんだな――そう私は思った。

――――――――――
篠田さん

大変な時にご連絡ありがとうございました。
お父様の回復をお祈りしています。
これまでのこと、ありがとう。
どうぞお元気で

希和
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だが、予想外の事態が待っていた。

このメッセージを送った数日後、私は自分が妊娠していることに気付いた。

もちろん父親は、篠田さんだ。
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