シングルマザー・イン・NYC
「一介の弁護士で終わるようなことはするな。これまで篠田家が政界で築いてきたものを無駄にするな。お前は、政治家になって国を動かすことができるんだぞ」

――そう説得され続けると、それもいいか、と思えてくるから不思議だ。
俺は意外と流されやすいところがあるのかもしれない。

だが決めるのは、希和に会ってからだ。

俺は、最後に希和とやり取りしたメールを開いた。

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希和

父親が重病で余命宣告を受けたため、急遽ニューヨークでの生活を引き払い帰国することになりました。

まだ希和のことが諦められません。
この先もずっとだと思う。
もう僕から連絡を取ることはしませんが、気持ちが変わればいつでも連絡して欲しい。
ずっと待っています。

篠田樹

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篠田さん

大変な時にご連絡ありがとうございました。
お父様の回復をお祈りしています。
これまでのこと、ありがとう。
どうぞお元気で

希和
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