男性の中には甘いものが苦手な人も居るけど、彼は美味そうに私の差し入れたチョコロールケーキを口に運んでいた。

私は心の中で安堵して、オーダーをこなしていった。
店は閉店。

私は更衣室で私服に着替え、彼の待つ『エルネ』の正面玄関の外にある星形のオブジェの前に急ぐ。

「すいません…」

「いや、構わないよ…」

神戸社長は息切れする私に優しい言葉を掛ける。

『自分の子を産んでくれ』と理不尽なコトを言いながらも、彼は優しかった。

「左手を出して」

彼の促され、私は左手を彼に差し出した。

彼は差し出した手にスーツの上着のポケットから取り出したジュエリーケースの蓋を開けて、台座から抜き取ったダイヤのリングを薬指に嵌めて来た。

「弘瀬のヤツ…凄いな…君のサイズにピッタリだな」