蒼月の約束
第六話



耳に心地いい歌声がする。


どこか懐かしくて、それでいて悲しい。

その声の主を探そうと辺りを見渡すが、白い霧で覆われていて何も見えない。


(誰かいるの…?)


頭の中で呼びかけると、辺りを急に光が包み込んだ。


【エルミア、精霊の書を見つけなさい。それがきっと、あなたを、そしてこの国を救うでしょう】


(エルミア…?私のこと?でも、私は…)


不思議と違和感なく思える、自分の新しい名前。


(私の名前は…エルミア…?)


声は未だに頭の中でこだましている。



【精霊の書を見つけなさい。次の蒼月までに…】



エルミアは、瞼の裏に光を感じて目を覚ました。

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