【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
『刑事だって、悲しくなります』


 それから数日経った頃、非番だったわたしを、日向が呼び出した。

「日向……!」

「おう」

 わたしは日向のそばに駆け寄ると「遅くなってごめん」と言った。

「いや、別に」

 日向は、ジーパンのポケットに手を突っ込んだまま、ベンチに座っていた。

「で、どうしたの?急に呼び出して」

「お前に聞きたいことがあって」

「聞きたいこと……?」

 聞きたいことって……。なんだろう?

「つぼみ、お前さ……。門野さんと、付き合うのか?」

「……え?」

 一瞬、言われた言葉を理解するのに時間がかかった。

「告白されてだろ? 結婚を前提に付き合ってほしいって」

「え……!? なんでそれっ……」

「この前……。つぼみが門野さんに告白されてる所を見たんだ」

 そう言ってきた日向は、わたしの目をじっと見つめていた。

「……そう、なんだ」

 まさか、あの時見られたなんて……。

「告白、受けるのか?」

「……どうして?」

 そう問いかけると、日向は「つぼみは、門野さんのことが好きなのか?」そう言ってきた。

「っ……わたしは……」

 だけど、うまく答えられなかった。
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