私はご飯を食べ終えた後、食器を片付け、ローファーを履き、学校へ行く準備をする。




「……摩耶……あのね……あなたこのままだと……」




どうせ、「一人じゃ生きていけない」とか「世の中は厳しい」とかそんな理由で引き止めようとしているのだ。どんな理由であれ、私は母に従いたくはなかった。だって、カフェで言われた事まだ鮮明に覚えてて、母の本音を聞いてしまったからだ。




ーー世間体を気にしているだけで、私の心配をしているアピールがしたいだけ。そう自分に言い聞かせて聞かない様にする私。




ローファーを履き終え、玄関の扉に手を掛ける。すると、次の瞬間母は、私の手を掴んだ。ギョッとして母の顔を見る。強く、何かにすがるように私に向ける目は、どこか痛々しい。開けるのを阻止するかのようにぎゅっと握り母は言った。





「あなたは、他の人よりも違うの。「普通じゃない」のよ……それ、分かってる?」




何度も、何度も、耳にタコが出来るぐらい母から出る言葉。「普通じゃない」って。そんなの言われなくても分かってる。私がみんなと違うことぐらい。そうじゃなければ、今頃保健室登校なんてなっていない。今頃普通だったら、沢山友達ができて、くだらない話を放課後カフェなんかで話して、保健室に頼りきるなんてない。




だけど、私は変われない。分かるんだ。大きな歯車が私の小さなガタガタな歯車にはまらないことを。無理に動いて、ガタガタの歯車を壊して、もう動けない体にはなりたくない。




そうゆう状態なのにどうして繰り返し私に言ってくるのだろう。



握られている手は、恐ろしいぐらい力が入っていた。これは、母からの願いによって強く握られているのか……だとしたら、本当に嫌だ。


「あなた、自分が「障がい者」だという自覚を持ってるの?「障がい」を持ってるってことは、周りに沢山の迷惑がかかるっていうのと同じなんだからね?周りに迷惑をかけて、生きていくことは、どんなに辛い事か分かる?周りに迷惑をかけない為にも、「あの場所」に行って、「普通の人」と生活できるような知恵を身につけていかなきゃいけない年でしょ?あなたは、それから逃げてる様にしか見えないわ」




ーー逃げてる?




ーーこの私が?



いじめられながらも、先生の事信じられないながらも、学校に行ってるっていうのに?



私は、呆れて母の手を振り払った。




「行くね。時間ないから」



そう冷たく返事をして、振り向きもせずに、予定のバス停に向かって歩き出した。



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