❤︎



その言葉を言い終えた瞬間、バスの出口が開いた。皆は一斉にバスを降りはじめる。立ち止まって固まった私を置いて。





ーー私が障がい者だって薫が知ってるのは、狭山先生が言ったからっていうの?





この学校の先生達は、私が障がい者ということは知っている。知るということは、先生の特権だからだろう。




でも、そんな事があり得る……?




先生が他の生徒に、何か事情持ちの生徒の個人情報をいうなんて事あり得るのだろうか?




猛烈にムカムカする胃を抑えながら、私はバスを降りた。





ムカムカするのは結構なストレスを与えられたからだろう。





「狭山先生が私の障がいがある事を薫に喋った」





そんな衝撃が頭の中から離れない。




嘘だという確証が感じられない。あの狭山が……とてもあり得そうな話だ。





デリカシーのない先生だから、本当かもしれない。





ちょっと、保健室に行って休みたい……朝から嫌な事がありすぎて頭が痛い。




学校の校門まで、着くと朝の挨拶運動をする生徒達がずらずらいる。





キリキリとストレスを感じながら、歩いていたら……。




「狭山……先生」




女子生徒とじゃれ合っている狭山がそこに居た。




相変わらず狭山は挨拶運動なんかせず、周りの女子に囲まれて、デレデレしていた。




さっきの事は本当なのだろうか?





こんな周りにいる可愛い女の子にしか興味ないこの男が私の障がいについて、とやかくいう男なのだろうか?




確かめようと、私が近づいた時、それをしなくてもいいと言った様に、周りにいた女子生徒が口を開いた。





「ねぇ、狭山先生。摩耶ちゃんって子が知的障がい持ってるって本当?」





確かこの女の子は、私のクラスメイト香里奈やま(かりな)。クラスの立ち位置は二軍といったところ。




美少女かと言われれば、そうでもない。私みたいに不細工かと言われたら、ブスではない。




だが、厚塗りされたファンデーション、そして赤い口紅、つけまつげが周りに「美人」だと主張している感じがなんか怖い。




性格は、何となーく悪いとこちら側からもふわりと伝わる。そして、プライドが馬鹿みたいに強いって事も。




その証拠にほら、狭山先生の腕を引っ張って近くに寄せようとしてる。





「え?摩耶のこと?」




「そんな奴いたっけ?」と言うような反応。





ぶち殺してやりたい様な衝動が、全身に駆け巡るが、グッと堪え物陰から隠れながら、その言葉を聞くことに。