眩しい月明かりが、グレインベルトの大地に降り注いでいた。町からも見える大きな山々に、雲の影が流れていく。

その森のずっと奥から、大型の獣の咆哮が幾重にも響き渡る。

《領主が、〝我らの幸運の娘〟と結婚をする、と》

《嗚呼、なんと喜ばしい》

彼らに踏まれた大地が、爪でえぐられた。力強い堂々とした姿勢で、獣たちは頭を上げて吠える。

《我ら三十三の頭の〝戦士〟が命ずる》

《下位の白獣共よ、祝え、祝福を上げよ》

《畏れよ、(こうべ)を垂れよ。我らは、獣の名を継承した戦士なり》

恐ろしい咆哮が、山々だけでなく町まで届く。彼らは、獣の言葉で同種族たちを威圧した。

《我らが〝白獣の女王〟に敬愛を》

《我らの元にようやく戻った〝我らが幸運の娘〟に祝福を》

獣たちの怒号のような遠吠えが、深く険しい山々の中心から低く轟いていく。

《女王の子らである白獣共、我らが命に応えよ》

《もし領主が不要と申したのなら、娘を我らの元へ》

《貴様らに無理だというのなら、我らを呼べ。その時は――一千年前の約束によって、我らが周りの人間共の肉を蹴散らし、娘を取り戻そうぞ》

獣の前足が、ドンッと大地を踏み鳴らして土埃を上げた。



その遠くからの響きが、微かに響いてくる。