平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「いや、紛れもない事実だ。だから我々は、より君らの一族を畏怖する。まだ国が統一されていなかった時代、各地の領主が手を組み戦略を立てる中、君らは〝自分たちだけで土地と民を守った〟。それは、敬愛に値するものだ」

グレイソン伯爵家にも、当家の歴史としてその記述は残されている。そして当時の戦士軍は、のちに白獣と〝和解〟し獣戦士軍となった。

それが現在の、王国軍第二十四支部の獣騎士団だ。

「まぁ、気を張るのも分からないでもないな。我々は貴族だ、庶民の娘を迎えるとなると大変だろう」

ふむふむと、老年の紳士が空気を和ませるように言った。

ジェドは考えるように目を一度そらし、足を組み替えつつ戻した。

「そこはアデルモウス侯爵や、急きょ名乗り出てくれたベルベネット子爵の強い協力支援にも助けられましたから」

「そこで陛下の名前を出さないところも、美徳だ。実に君らしい」

「ベルベネット子爵と言えば、大貴族エンデ公の支援も引っ張ってきたのには驚いた。それに見計らったかのようにビオラ卿に接触し、膨大な魔女資料と歴史も教授していったとか――全くのノーマークだったが、いったい何者だ?」

「さあな」

ジェドは、気のないそぶりではぐらかした。

鷹のような目をした紳士が、室内であるのにシルクハットを被ったまま、姿勢を崩して深く座り直し「やれやれ」と息を吐く。

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