秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
プロローグ
私には、ずっと忘れられない人がいる――。


高校一年生のとき、同じ学校だった〝彼〟の存在を知った。
同い年で隣のクラス。同級生ということ以外、接点なんてまったくなかった。


サッカー部に入部した彼は、中学時代から注目されている選手だったらしく、高校でもすぐに頭角を現した。
一年生でレギュラー入りし、二年生になる前には先輩たちを差し置いてエースと呼ばれ、県大会では準優勝の立役者となった。


スポーツ万能で、勉強もでき、まさに文武両道。当然モテないはずがなく、ひっそりファンクラブまである……と聞いたことがある。


ただ、当の本人には女嫌いという噂があり、ミスコンで優勝した先輩もアイドルの卵の同級生も、はたまた学年一可愛い後輩にもまったく興味を示していなかった。


サッカー部のエースという目立つタイプだったのに、どこか物静かなところがあって。周囲とバカ騒ぎするようなことはなく、人気のない場所でひとりでいる姿を見たこともある。
ミステリアスな雰囲気もまた、彼の魅力を高める要素だったのかもしれない。


当時、男子が苦手だった私は、三年生で同じクラスになるまで彼とろくに話したこともなくて、彼の方はきっと私のことなんて知らなかっただろう。

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