冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
4.

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「まり子さん、これで合ってる?」

「あー…、編み目がズレちゃってるわねぇ」

「えぇ〜、また?もーダメっ!ギブアップ!」

縫い始めの編み物をテーブルに置いてソファにひっくり返る。

「…わたし、編み物の才能ないかも」

もう何十回目の失敗か。いくら初心者とは言え失敗し過ぎなのは自覚している。

仁さんに手編みの腹巻きでもプレゼントしようと思い立ち、まり子さんに指南を仰いだのが10月の初旬。

いまは、クリスマスの音楽が街でもテレビでもしつこいぐらい流れている12月。

2ヶ月と言う時間があったのにも関わらず失敗続きで現時点で1段目も編めていない。

この状況は、教えてくれているまり子さんは勿論、わたし自身でさえ想定外な事だった。

「クリスマスは、プレゼントは悔しいかも知れないけど買ってきて、手料理を沢山振る舞ってお祝いしましょうか」

「まり子さ〜んっ」

どこまでも優しいまり子さんに抱き付くと、よしよしと頭を撫でてくれて、なんだか気持ちがいい。

「でも、買うとしたら腹巻きじゃない方がいいかな」

「疑問だったんだけど、なんで千聖ちゃんは腹巻にこだわっているの?」

「冬は厚着していてもお腹冷えるから、どんな時でも腹巻きはしてろよ!って、亡くなったおじいちゃんが良く言っていて…」

ニコッと笑めば、まり子さんも「そうだったの」と、穏やかに微笑んでくれた。

「今は昔と違ってオシャレで可愛いものも沢山あるものね」

「そうなんですよっ!…正直、仁さんぐらいの年齢の人が何をあげたら喜んでくれるのか分からなくて、」

やっぱり海外のブランド品とかの方が喜ばれるのかなぁ。

「今度、一緒に街まで行ってプレゼント選びしましょうか」

「っ!ほんと!?まり子さんが一緒に選んでくれるなら間違いないっ!ありがとうございます!神っ!!」

思わずまり子さんを拝んでしまった。




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