相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
分室院長は命の恩人
分室の開院まで後、ニヵ月と迫る。
分室と言うから、小さなクリニックを想像していたけど、実際に見ると八階建ての大きな建物だった。
地下は駐車場、一階は外来ロビーや検察室に救命救急センター、二階、三階が診療科フロア、四階から六階まで病室、七階、八階が医局や会議室などの関係者フロア。

「分室と言うよりも中堅の総合病院だな」

伊集院千歳(イジュウインチトセ)院長がお披露目会と称して、私達若手の医師たちを招待した。

「槇村先生…君のリクエストした最新鋭の超音波装置、導入したから頑張ってね…」

「はい…ありがとう御座います」



伊集院院長は彼の同期・伊集院和寿(イジュウインカズ)先生の父親。
親子揃って脳神経外科の医師。

「じゃ各自の診療科の方に移って、見てね…」

院長案内は一階のロビーだけ。

後は各自の診療科室へと足を運ぼうとした途端、一人の紺のスーツ姿の男性が院長の前に走り込んで来た。



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