相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
分室開院

奏弥side~

『東亜医科大付属病院分室』
が予定通り開院した。

予約制となっている産婦人科外来はスムーズに一日目の診察を終えた。

「分室の方が楽かもしれない…」
一日目の診察を終えた俺の感想。

「槇村…丁度良かった…あそこのお婆ちゃん…お腹が痛いと言っている…腹部エコーしてくれ」

「俺は…」

救命救急を覗けば、高木先生に捕まり、一人の患者の診察を命じられてしまった。
他の患者の処置に追われてる高木先生。
俺は渋い顔でベットに横座りしてボーッとしているお婆ちゃんに近づいた。

「お婆ちゃん・・・産科医の槇村です…お腹が痛いと訊きましたが…何処か痛みますか?」

「産科医??私は赤ちゃんなんてデキてないよ…お腹が痛いだけだよ・・・」

「そうですか…座ったままでは診察出来ないので、お婆ちゃん・・・横になって下さい…」

俺はお婆ちゃんをベットに寝かせた。

「…私はあんたのお婆ちゃんがないよ・・・」

「・・・あの…失礼ですけど…お名前は?」

「忘れた・・・」
忘れたって・・・


高木先生・・・厄介な患者っぽいから俺に押し付けたんだな・・・

俺は高木先生を睨んだ。

高木先生は他の患者の相手をしながらクスクス笑っていた。






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