お飾りにしか⋅⋅⋅なれない
13

···長く一緒に


この一年
私と悠希さんは無理をせずに
休みが取れたら
お互いのどちらかが会いに行く。

それ以外は、LINEやテレビ電話を
使った。
会いたい時も
抱き締めて貰いたい時もある
それは、お互い同じ思いだ⋅⋅⋅⋅⋅⋅と
離れているからこそ
素直に気持ちを伝えようと
どちらかが、我慢すると
それがいつしか
溝になり、大きな亀裂となるから
と、悠希さんと話して決めた。

「紗雪、かわりない?」
「はい。悠希さんは?」
「今日は、⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
悠希さんは、患者さんの話や
ご家族の話をしてくれる
医療の内容はわからないが
絵本を読んだよ、とか
日本の遊びをしたよ、とか
とても楽しそうで
私は、いつも笑っていた。
私も自分の回りの話を
悠希さんにきいて貰う。

なるべく毎日
悠希さんの声が⋅⋅⋅⋅⋅聞きたいと
思うが、悠希さんの仕事を
思うと無理だから
LINEやメールだけの日もある。

それだけでも
無理をしているだろう
悠希さんの気持ちが嬉しい。

「LA・fonte」の
経営状態は安定している。
建物等の費用も
順調に返済も出来ている。

従業員の不安や不満にも
耳を傾けるようにしている。

長く、一緒に働きたい
と、思っているから
大切にしたい。

私の考えに史織も悠希さんも
賛成してくれた。
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