俺がお前を夢の舞台へ
第2章

揺れるバレンタイン

「そうですか…」


目の前には落胆した表情の菜々子ちゃんが立っている。


勇翔の勧誘が上手くいかなかったことを伝えた。


菜々子ちゃんも感じているんだろう。


このままじゃ橘は甲子園に行けない、と。


熱意も技術もバラバラの14人が…たったの14人で、どうやって甲子園に行けようか。  


「ごめんね。勇翔はもう野球はやらないみたい」


「…なら、今のメンバーで頑張るしかないですね!」


菜々子ちゃんは明るい表情を作って笑いかけてくれた。


「ほら1年生声小さい!いつまでタラタラしてるつもりー!?」


菜々子ちゃんは、誰よりも頑張って声を出している。


菜々子ちゃんはバリバリの野球少女だったからこそ、甲子園への想いは人一倍強い。
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