隣の不器用王子のご飯係はじめました
三つの変化





保健室の先生が言っていた通り、足の痛みは一週間もすればすっかり消えていた。


体育祭という一大イベントが終わったこともあり、すっかりこれまでと同じ日常を取り戻した。


──かのように見えた。



「ほら、ねえあの子よ。遠坂くんがお姫様抱っこして保健室まで運んだっていう……」

「え、どの子どの子?」

「ほら、あの髪の毛下ろしてヘアピンしてる子」

「えぇ?思ってたより地味なんだけど。もっと美少女想像してたのに」

「わかる~。よっぽどの美人だと思ったよね。ていうかあのレベルならあたしらの方が全然上じゃない?」



あの、顔も知らないどこかのクラスの皆さん……全部聞こえてるんですが……。


私は廊下側の窓から向けられる視線に居心地の悪さを感じ、大きくため息をついた。



近頃、休み時間になる度、たくさんの人がこうして私のことを見に来るのだ。




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