私の家が経営する瀧平(たきひら)工業はお祖父様の代に鉄鋼で稼ぎ、技術者を集めて大きくなった会社だった。
お父様の代になり、外国の安い鉄鋼に負けて、急激に業績が悪化。
それを助けてくれたのが宮ノ入(みやのいり)グループだった。
宮ノ入グループは巨大財閥で、繋がりを持ちたくて姻戚関係になれないかと目論んでいる人間は大勢いた。
けれど、社長の瑞樹(たまき)お兄様は沖重(おきしげ)グループの娘と結婚してしまい、それならばと直真(なおさだ)お兄様に注目が集まった。
直真お兄様は宮ノ入を名乗っていないだけで、立場は宮ノ入の直系にして長男。
ライバルの女性は山ほどいた。
宮ノ入の財力だけじゃなく、直真お兄様は顔の綺麗さでは群を抜いていたし、狙っていたのは私だけじゃないのはわかっていた。