僕が愛した歌姫
真夜中のデート
「昨日はこれなくてゴメンね」


フェンスを隔てて、俯き下限な彼女の顔を覗きこむ。


「ずっと待ってました……」


小さく言うのは批判の声。


やっぱり、待ってたんだ。


「ごめんね。俺寝ちゃってて」


そう言って頭をかく。


「いいんです。患者さんは、寝るのも仕事だから……」


『いいんです』


といいながらも、リナのふくれっ面は直らない。


これじゃまるでデートをすっぽかして怒られる彼氏みたいだ。


や、でもそれが嫌というワケではなくて。


むしろそうなれたらどれだけ嬉しいか。
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