聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
エピローグ
 それから一年、あかりは一歳になった。

 テーブルにつかまり立ちをしながらあかりが楽しそうな声をあげる。

「ばっ、ばっ」
「きゃあ~。今、ばあばって言いかけた! 聞いてた? ふたりとも」

 祥子の歓声に十弥は呆れた声で言う。

「ばあばではなかっただろ」

「え~。絶対にばあばって言おうとしたのよ。ね、あかりちゃん」

 祥子は一年経ってもあかりにデレデレだった。玲奈はクスクス笑いながら十弥を見る。

「でも、十弥だって数日前に同じようなこと言ってた。パって言っただけで、パパだって言いはって」
「あれは、間違いなくパパって言った」

 似たもの親子なふたりに玲奈は笑いが止まらない。子育てにも少しずつ慣れ、余裕もでてきて、最近は毎日が幸せすぎて怖いほどだ。

 ちょうどそのとき、インターホンのベルが鳴った。

「はーい。宅配便かな」

 日曜日の昼下がりに突然たずねてくるような知り合いはいない。十弥の父親は今日は仕事のため欠席だった。玲奈が立ちあがろうとすると、十弥が先に腰を浮かせた。

「俺が見てくるからいいよ」

 そう言って彼はドアモニターのほうへ歩いていく。
< 103 / 111 >

この作品をシェア

pagetop