西岡三兄弟の異常な執着
召使
次の日の早朝。
門の前に水樹がいた。
なぜか不安で堪らず、なかなか足を踏み込めない。

「水樹さん、おはようございます」
寺門が水樹に挨拶をする。
「あ、おはよう…ございます」
「入らないんですか?他の皆さん、来られてますよ?
早く入らないと、遅れますよ?
ここから屋敷に着くまで10分程かかるから、早く中に入らないと……時間厳守ですよ!」
「そうでした。では…」
「………頑張ってくださいね」
「え……?」
「これから…大変でしょうから…」
「あの、寺門…さん…?」
「いえ…」
意味深な寺門に、頭を傾げながら屋敷に向かった水樹だった。

使用人室に着き、中に入った。
「「「「おはようございます!」」」」
「あ、おはようございます…」
元気のいい四人とは正反対の水樹。

「水樹さん?どうしたの?」
塩見が心配して、話しかけてくる。
「あ、いえ…」
「緊張してるとか?」
「えぇ、まぁ…」
「でも、なるようにしかならないわよ?」
「そうですね。塩見さんは、肝が据わってるなぁ(笑)」
「フフ…度胸はある方かも(笑)?」
「フフ…」
水樹と塩見は笑いあった。
そこに森宮が入ってきた。

「おはようございます。ではまず…食事の用意からお願いします」
西岡家の仕事が始まった━━━━━━

家事をする順序などを細かく聞いていく、水樹達五人。
「━━━━━と、ご主人様お一人だけでも、かなりの好き嫌いがあります。
ご主人様と、花苗様は和食。
若様と坊ちゃまは洋食がお好みです。
花苗様は基本的には、出された物は召し上がってくれますが、他のお三方は気に入らない物は頑なに召し上がりません。
まぁ、最初の内は大目に見ていただくようにはお話してますが、お好みなどは貴女方がご自身で把握していってください」
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