西岡三兄弟の異常な執着
錯乱
ここは西岡電力グループ・本社━━━━━━

松久が呼びだされていた。

「会長様、松久をお呼びしました」
「ん」
松久が中に入ると、黄河、朱雀、真白が黒い雰囲気を包んでソファに座っていた。

松久は怯えていた。
正直、森宮から電話がかかってきて“花苗の口添えが効いた”と喜んでいた。
しかし……
「今から西岡電力・本社においでください」
と、思いもよらない内容の連絡がきたのだ。

松久がテーブルの前に立つと、森宮はドア前に待機した。
「あ、あの……」
松久が震える声を出す。
「なんで呼ばれたか、察しついてるだろ?」
黄河が真っ直ぐ見据えて言った。
「え?」

「まさか、わかんないの?」
「お前、バカ?」
朱雀と真白も鋭い目で、松久を見ていた。

「早く答えろ!?
俺達は、貴重な仕事時間を潰してる。
これ以上、俺達の時間を奪うな!」
黄河が言い放った。
「は、はい!
私が、SNSに色々アップしていたからですか?」

「お前、凄いんだね!
こーんなに、フォロワーがいる」
真白がスマホ画面をテーブルに出し、松久に見せた。
画面には、西岡家の屋敷で撮った写真でいっぱいだった。
最初は屋敷の内装だけだったが、それが次第に花苗の服やバッグ、アクセサリーを勝手に使用し自撮りした写真に変わっていたのだ。

「この中のことって、ぜーんぶ!嘘だよね?
しかも君、いつから屋敷の住人になったの?
それに!!」
組んだ足の膝の上に頬杖をついていた朱雀が、松久に近寄りガンッ!!と壁に押しつけた。
しかも……足で腹を蹴るようにして押しつけたのだ。

「俺の花苗の持ち物を、勝手に使うって……
何様なんだよ!?この下衆女が!!」
「うぅっ…!!!!」
松久は、普段の朱雀からは想像できない姿と言葉遣い、更に足で壁に押しつけられた恐怖と痛み…色々な思いで震えていた。
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