西岡三兄弟の異常な執着
豹変
それから数日後の昼。

「花苗様、江本様がいらしてますが…」
一階リビングで本を読んでいた花苗に、塩見が話しかけてきた。

「え?理太郎くん?
どうしよう。朱雀に勝手に会うなって言われるからなぁ」
「では、お断りしましょう!
若様の言いつけは守らないと……!」
「はい。そうですね…お願いします」

しかし━━━━━━━

「ちょっ…!!困ります!!
こんなの、不法侵入ですよ!?」
「少しだけだから!!頼むよ!
どうせ、花苗しかいないだろ!?」
「ですが!!」

断りに言ったはずの塩見の焦った声が、廊下から聞こえてきた。
「え?塩見さん!どうし━━━━━」
「花苗!!」
「え?え?理太郎くん!?
どうして!?」
「悪い!無理やり入ってきた……!
花苗に会いたくて……」
そう言った理太郎。
花苗を抱き寄せ、力一杯抱き締めたのだ。

「え……?ちょっ……離して!!朱雀に勝手に会うなって言われてるの!
こんなことしたら、私や塩見さん達や…理太郎くんだって、叱られる!!
早く、帰って!!」
「少しでいいんだ…!!
少しだけ…このまま……」
理太郎は、更に抱き締める力を強くした。

このままでは、三兄弟を怒らせることになる。
いや…怒らせるだけで済めば、まだいい。
キレさせることになるかもしれない。

塩見はすぐ、森宮に電話をかけたのだった。

『は?理太郎様が!?』
「はい。無理やり入って来られて、花苗様に……」

『わかりました。すぐに、戻ります!』
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