西岡三兄弟の異常な執着
花苗
━━━━花苗様は、本当に幸せですか?━━━━

あれから朱雀は花苗を抱く時必ず、噛み痕をつけるようになった。
花苗が“痛いし、怖いからやめて!”と懇願しても“花苗が好きすぎて、食べたいの”と異常な愛情を向けて、貪るのだ。


そんな時━━━━━━━

また散々貪られ、朱雀の愛情を受け止めた花苗。
シャワーを浴び終え、ネグリジェを着ようとしていると突然ガラッとバスルームのドアが開いた。

「キャッ!!!だ、誰!!?」
咄嗟にバスタオルで、身体を隠した。
まだネグリジェを着ていなくて、下着姿だったから。
「え!!?か、花苗様!?」

「へ?森宮さん?」
「も、申し訳ありません!!
もう皆さんお休みになってるから、誰もいないと思って……
すぐ、出ま━━━━━」
森宮は顔を真っ赤にして頭を下げ、バスルームを出ようと顔を上げると、花苗の鎖骨に目が止まった。
たまたま噛み痕が見えたのだ。

「森宮…さ…?」
「花苗様は、本当に幸せですか?」

「え?急に、どうし━━━━━」
森宮は花苗の鎖骨の噛み痕に優しく触れ、なぞった。

「こんなの、愛情なんかじゃない。
俺だったら、花苗様をこんな愛し方しない。
なんで……こんなことされてまで、若様の傍にいるんですか?
こんな、傷つけられるくらいなら……俺が拐っていいですか?」
「森宮さん、やめてください!」
花苗は、鎖骨に触れていた森宮の手をはねのけ言った。

「あ、も、申し訳ありません!!
つい……無意識に……」
「出ていってください…」
花苗は俯き、呟いた。

「あ、はい…」
ドアに向かった森宮。
そして一度振り返り、花苗を見据え、はっきり言った。

「花苗様、僕は貴方が好きです」
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