幼馴染 × 社長 × スパダリ
元カレ
しばらくすると、涼ちゃんの運転する車は、海の見える高台に到着した。
そこには、小さな森と教会のあるホテルが建っていた。
周りの景色に溶け込むようなホテルの外観は、自然でとても美しい。
小さい頃に見た、絵本の中に出てくるコロボックルのお城のようだ。
ひっそりと森に溶け込んでいるようにも見える。
私は幼い頃から、コロボックルの絵本が大好きだった。
いつか、コロボックルのお城に行って見たかった。
夢のような建物だ。
車を駐車場に停めてロビーに進む。
ロビーにはガラス窓が大きく広がり、とても開放感がある。
海が一望でき、まるで空を飛んでしまったような景色だ。
「二階堂社長、素敵なホテルですね…」
涼ちゃんはニヤリと笑う。
「ここは俺が設計したホテルなんだ。俺のお気に入りでね…萌絵に見せたかったんだ。萌絵は小さい頃、こんなお城が出てくる絵本持ち歩いてたよな。」
(…涼ちゃん、覚えていてくれたんだ…)
すると、ホテルの支配人らしき人が近づいて来た。
背筋をピーンと伸ばし、キッチリ固めた清潔な髪形、いかにもホテルマンだ。
「二階堂社長、いらっしゃいませ。」
支配人は丁寧にお辞儀をすると、私達をロビーラウンジへと案内する。
コーヒーを静かに置きながら、支配人は微笑んだ。
「ごゆっくりなさってください。」