無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
幼稚な独占欲
【side和泉】
パス練をしている時、キャプテンが駆け寄ってきた。
「和泉、ちょっときて」
何の用だと思いながら、一応ついていく。
この人のことはキャプテンとしては尊敬しているが、一人間としては苦手だから。
いや、嫌い。
俺は好き嫌いははっきりしているタイプだから、好きなもの以外は嫌いだ。
静香先輩を狙っているこの人は、俺にとって恋敵。
部室に連れてこられ、キャプテンに続き椅子に座る。
話ってなんですか?と俺が聞くよりも先に、キャプテンが口を開いた。
「さっき、静香ちゃんが来てくれた」
……え?
「さっきまでいたんですか?」
「うん。今日は帰ってもらったけど」
「そうですか……」
気づけばよかった……。