妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
無理に行くなとは言われたけど、私と凪良社長の見合いは来週の大安吉日の日曜日。

今日しかチャンスがなかった。

お母さんたちには瑠知の部屋に泊まると嘘を付いて外出した。
馬鹿正直な私が家族についた初めての嘘。

もう後には引けない。

私は一人で意を決して、『ベルモンドホテル・横浜』に向かった。でも、まだ夕暮れ時、近くにある山下公園を散策しながら、時間をやり過ごし、バーが開店する夜の帳が下りるのを待つ。

海を眺めていると遠くで船の汽笛が聞こえる。

横浜港に行けば、海運王の凪良社長が所有するタンカーや貨物船が見られるかもしれない。

瑠知の教えられた通りメイクも厚めにして、赤系のツヤ感のあるリップグロスで口許を彩った。
ともかく大人っぽい様相を見せないと相手が寄り付かないらしい。
服装もカラダのラインにフィットしたワンピースをまとった。

今日の私は普段の私とは全く違う。









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